身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
剛士さんの言動に振り回される。
空になった手の所在に困り茫然としていたら、剛士さんは私の手首を掴んで微笑を浮かべた。
「後で返すから、それまでもう少しだけ付き合ってほしい。とりあえず移動しよう」
「え。ちょっ……紀成さん、どこへ」
私は手を引かれるままにホテルのロビーを抜け、エレベーター前まで移動した。
剛士さんが上行きのボタンを押し、表示ランプを見上げて答える。
「上階のバー。今、夕花と鷹藤さんがいる」
「は……?」
成さんと夕花さんが……?
一瞬思考が止まった。でもすぐに、成さんからのメッセージを思い出した。
以前も、マチラの社長との約束の場に夕花さんが来たと話してくれた。だとすれば、今日も彼女が一緒にいる可能性は否定できない。
でも、なんでバー? それじゃ、まるでふたりきりでいるみたいな……。
私が目を剥いて固まっている間に、エレベーターが到着した。
有無を言わせず乗せられて、エレベーターが上昇していく。
「えっ……なにをしに行くつもりなんですか」
「ふたりの様子を見に」
あっけらかんとして返された回答に、私は唖然とする。
「覗きなんて、趣味が悪いですよ」
掴まれている手を振りほどこうとしても、がっちりと握られていて振りほどけない。
そうこうしているうちに、三十五階に着いて扉が開いた。
剛士さんはそこでも私を引っ張ってエレベーターから私を下ろした。
エレベーターホールを出て、廊下に出たところで彼が言う。
「だけど、時雨さんも気になるだろ?」
「よ、余計なお世話です」
そんなこと言って、百パーセント私のためだなんて思ってないはず。
剛士さんの情報が事実かはわからない。
でも、だからって確かめようという気はさらさらない。
ふと、成さんを思い出す。
『また会う可能性は否定できない。でも、なにもないから。それだけは覚えていて』
あの言葉が現実になってる。
そう思うだけで冷静でいるのもギリギリなのに、直接ふたりの姿を見ればどんな心情になるか……。
空になった手の所在に困り茫然としていたら、剛士さんは私の手首を掴んで微笑を浮かべた。
「後で返すから、それまでもう少しだけ付き合ってほしい。とりあえず移動しよう」
「え。ちょっ……紀成さん、どこへ」
私は手を引かれるままにホテルのロビーを抜け、エレベーター前まで移動した。
剛士さんが上行きのボタンを押し、表示ランプを見上げて答える。
「上階のバー。今、夕花と鷹藤さんがいる」
「は……?」
成さんと夕花さんが……?
一瞬思考が止まった。でもすぐに、成さんからのメッセージを思い出した。
以前も、マチラの社長との約束の場に夕花さんが来たと話してくれた。だとすれば、今日も彼女が一緒にいる可能性は否定できない。
でも、なんでバー? それじゃ、まるでふたりきりでいるみたいな……。
私が目を剥いて固まっている間に、エレベーターが到着した。
有無を言わせず乗せられて、エレベーターが上昇していく。
「えっ……なにをしに行くつもりなんですか」
「ふたりの様子を見に」
あっけらかんとして返された回答に、私は唖然とする。
「覗きなんて、趣味が悪いですよ」
掴まれている手を振りほどこうとしても、がっちりと握られていて振りほどけない。
そうこうしているうちに、三十五階に着いて扉が開いた。
剛士さんはそこでも私を引っ張ってエレベーターから私を下ろした。
エレベーターホールを出て、廊下に出たところで彼が言う。
「だけど、時雨さんも気になるだろ?」
「よ、余計なお世話です」
そんなこと言って、百パーセント私のためだなんて思ってないはず。
剛士さんの情報が事実かはわからない。
でも、だからって確かめようという気はさらさらない。
ふと、成さんを思い出す。
『また会う可能性は否定できない。でも、なにもないから。それだけは覚えていて』
あの言葉が現実になってる。
そう思うだけで冷静でいるのもギリギリなのに、直接ふたりの姿を見ればどんな心情になるか……。