FUZZY






シン、と静かな部屋に私と碧生くん。テーブルを挟んで床に座っている。この距離が今の私たちにはちょうどいい。

外は未だに大雨。窓を殴る音が度々聞こえて割れないかな、なんてちょっと考えたり。

碧生くんは電車で来たのか、それともタクシーなのか、はたまた歩きなのか。抱きしめられた時に少し雨に濡れていた気がしたんだけど風邪引かないか心配だな…。タオル…。はあ…。




「風邪ひいちゃったらダメだから」

「え、」

「髪とか、濡れてる気がして」

「……」

「碧生くん?」

「……理乃さんが拭いてくれないんだったらこのままでいい」

「……」

「拭いてくれるなら風邪ひかないよ」


なんなんだ一体。

碧生くんはさ、自分の立場をわかっているのだろうか。

と、言いつつちょろいんだ、私も。風邪ひいてほしくないし。風邪はしんどいからね。ここに来たから風邪をひいたって後から恨まれるのも嫌だし。

タオルで碧生くんの髪を包み込む。極力、力をいれずに、綺麗な髪が傷まないように軽く水気を取っていく。


と、自然に目と目が合う。


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