FUZZY
「……行きたい。ぜひ行かせてください!」
「はは、理乃さん、可愛い」
「ふふ、……えっ、可愛い?私が?」
「うん、可愛いよ。理乃さんは可愛い」
にっこり笑った碧生くんの人差し指が私の頬に乗る。ぷにっぷにって効果音付きで。
ちくしょう、可愛すぎるでしょ。わんこ系男子。飼いたい、飼わせて下さい。
「あ、あんまり、大人をからかうのはよくないよ。特に私みたいなアラサー女はね、鵜呑みにしやすいから」
久しぶりの再会だからって、イケメンを前にしてるからって舞い上がってはダメ。
平常心、あくまでも平常心。
「そんなこと言われても嘘つけないタイプだからなぁ、俺」
「……」
「言いたくなる気持ちもわかってよ」
アラサーでよかったって初めて思ったわ……。