FUZZY
「変なのに絡まれなかった?この辺、酔っ払い結構多いんだよね」
肩をガシッと掴んであたりをきょろきょろと見渡す。番犬。もう犬にしか見えない。
でもね、大丈夫だよ。
「心配ご無用、選ぶ方にも好みがあるからね」
「俺はね〜、理乃さんがドストライク」
「こらこら、アラサーをからかわないの」
「好みに年齢なんて関係ないんだよ。だから素直に喜んでほしい」
やっぱりさ、この前も感じたけど碧生くんの言葉って魔法みたいだ。妙に説得力があるというか、そうじゃなくても「そうかもしれない」って思わせてくれるし。
だから、私ってちょっといい女なのかもしれないね。碧生くんフィルター掛かってるけど。
「……碧生くんの好みが私で嬉しいです」
空気に乗せると小っ恥ずかしい。
けれど、彼はそんな私の髪を撫でながら、
「素直になってくれて嬉しいです」
その空気に似合うやわらかい笑顔を見せた。