FUZZY





こっちの気持ちは完全に無視して勝手に決めちゃうなんて。どういうつもりなの、まったく。


「焦らなくていいと思うんだけど」

「焦るでしょ、普通に!」


侑芽は顔を上げて身を乗り出す。

口元にエビフライの衣ころもが付いていたので取ってあげた。お茶目な侑芽さん、恥ずかしいそうに笑ってゴホンと咳払いをする。


「周りはあっという間に結婚して子供が産まれて幸せそうで。私もその仲間に入りたい!」

「結婚が必ずしも幸せとは限らないよ?」

「理乃はマイペースすぎんのよ。そんなんだから居酒屋で知り合った年下の大学生にお持ち帰りされてワンナイトしちゃったんでしょうが」

「ちょ、侑芽!静かにして!人いるんだから」

「マイペースな理乃が悪い」


……なんとも理不尽な。

でも、うん、そうだね。マイペースというかこの歳になってワンナイトはふらふらしすぎたかもね。酔ってたとはいえ…。



ーーー理乃さん



……おお、なんか今思い出しちゃった。

すっかり記憶から消えていたはずなのに。



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