FUZZY
半年前。
会社近くの大衆居酒屋で侑芽と私は飲んでいた。その隣に男の子集団が座っていて。「ゼミの〜」とか「単位が〜」って話をしていたから大学生なのだとすぐにわかった。
若いっていいよね〜って二人で話していたら男の子たちが話しかけてきて。〝おねーさん〟って呼ばれたら気分あがっちゃったんだよね。いつの間にかみんなで飲んでた。
そこで——碧生くんと出会った。
断片的でしか覚えてないけれど、彼含む数人はまだ未成年でお酒じゃなくてコーラとかジンジャーエールを飲んでいた気がする。グラスにストローがささってたし。
碧生くんは集団の中でも一際目立つ容姿の持ち主だった。キャラメルみたいに甘そうな色をした髪に、くりっとした瞳はまるで宝石のようにキラキラしていた。
そんな碧生くん。
かなり人懐っこい性格で、ネイルをしている私の手に触れて「理乃さんの爪、かわいいね」ってふにゃって笑ったり、「理乃さんが会社の上司だったら頑張れそう」とかね、そんなのばっかりだった。
だからかな…簡単に体を許してしまったのは。
馬鹿だと思う。
だって相手は大学生、私は社会人。
しちゃいけないことをしてしまった。
目が覚めた時には遅くて、布団の中を見たら全裸だし下腹部に違和感あるし正方形の包みが破られていたし、それって、もう駄目じゃん。
だから、なにも言わずに一万円札だけ置いてホテルを飛び出した。
それから一切会うこともなく(連絡先は交換していない)一夜の過ちは過去になった。