FUZZY
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「前にワンナイトした大学生とばったりパーティーで会ってそのまま流れでまたワンナイト、あ、ツーナイト?どっちでもいいか」
「……その日は、ね。お互い酔ってたし」
「で、昨日はみんなと解散した後に会ってヤッた、と。え、セフレじゃん」
「セ、セフレ…なのかな、この関係」
「セフレ以外になにかある?付き合ってないんでしょ?ヤるだけヤッて終わりでしょ?じゃあセフレ。それ以下も以上もない」
ピシャッと扉を閉められた感覚。
〝セフレ〟
そりゃそうだよね。
普通に考えたらそういう結論に至るし、侑芽の言っていることに間違いはない。
「理乃は好きなの?その子のことが」
「え?それはない!!わんこみたいでかわいいな〜とは思うけど好きとかは——」
「じゃあなんでそんなに納得のいかない顔してんの?〝私がセフレ?ありえない〟みたいな」
碧生くんと再会して、体を重ねて、はたから見たらそれはセフレなんだろうけど、私の頭の中には〝セフレ〟っていうワードが一ミリも浮かばなくて。
多分それって、碧生くんが優しく私を抱くからなんだよ。彼本意のエッチじゃなくて、私本意のエッチ。
おまけに〝かわいい〟〝タイプ〟なんて言われちゃったらアラサー舞い上がるじゃん。それが碧生くんの素だって信じたいというか…。
「私も…よくわからない、です」
「だろうね」
侑芽はカップに入ったアイスコーヒーを啜って呆れたように笑った。