FUZZY
お店を出てタクシーに乗り込んだ私の行き先は弘実が住むマンション。ここからは15分ほど。
碧生くんの名前をタップして通話モードにしたら3コール目で『もしもし、理乃さん?』といつもと変わらない癒される声が鼓膜に響いた。
「碧生くん、あのね、弘実が倒れたらしくて今から様子を見に行こうと思ってるんだけど」
『弘実さんが?大丈夫なの?』
「うん、熱が出たみたい。滅多に風邪なんか引かない男だからちょっと心配で…だから、」
『今、弘実さんのとこ向かってるってことだよね。それは仕方がないよ、行ってあげて』
「……ほんとにごめんね。遅くなっちゃうけど私は碧生くんとちゃんと話をしたいって思ってるし、それに、……会いたい」
『かわいいな〜理乃さんは。俺は何時でも待てるから気にしないで。また連絡してよ。迎えに行くから』
そう言ってもらえてすごく嬉しい反面、申し訳なさが込み上げてきて胸が苦しくなる。
電話を切ってもなんだかソワソワして落ち着かなかった。