My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~
困惑している涼の肩を、舞がポンっと叩いた。



「確かに渚ちゃんって、見た目は子供っぽいかも知れない。
でもね?
涼くんを立ち直させたりできるんだから、中身は大人だと思うよ?」


誰より渚の事を知っている涼は、舞の言う通りなのはわかっている。


涼は漠然といつか渚と付き合うもの。だと思っていたが、紫音が現れて風向きが変わったことを気にしていた。


告白して……


振られたら、どんな顔をして過ごせばいいんだよ……


いつも一緒にいるからこそ、高い壁がそこにあった。


「そんなの前からわかってるけど……
幼馴染みだから今さら……」


モジモジと告白できない現状を伝えようとしたが、舞が被せ気味に話した。


「今さら何?告白して振られたら、困るって話?
紫音に取られてもいいの?」


舞はハッキリしない涼に苛立ち、捲し立てるように言う。


「男なら、バシッと告白したらどうなのっ?
好きなんでしょ!?
渚ちゃんは、涼くんのために、オーディションに誘ってくれた。
怖いはずなのに、不良グループの溜まり場にも足を運んだ。
それなのに、涼くんに勇気がなくて告白できない。
なんて信じられないっ!!」




舞にそこまで言われても、結局、涼は結論が出ないまま、二人は分かれてホテルの部屋へと帰っていった。


< 54 / 116 >

この作品をシェア

pagetop