LOVEPAIN⑥
「またお前と仕事するとはな」
今日、この撮影で共演する相手の男性は
人気モデルの佐藤雲雀
出来れば、生涯もう二度と会いたくないと思っていて、
もう二度と会う事はないと思っていた人物
共演相手が佐藤雲雀だと、
成瀬の車の中で初めて知った
進行表に佐藤雲雀の名前が書いていて、
思わずその紙を落とすくらいの動揺があった
「――今日は、
よろしくお願いします…」
声が、震えてしまう
佐藤雲雀の細く切れそうに鋭い目が怖くて、
視線を下げてしまう
佐藤雲雀も私と同じように、
バスローブを羽織っている
直に羽織っているからか合わせた隙間から素肌が見えていて、
佐藤雲雀も私と同じように下は前張りをしているのかと思うと、
少し面白くなって来た
「佐藤さん。
広子が足を引っ張るかもしれませんが、
今日はよろしくお願いします」
私の横に居た成瀬は、
そうやって佐藤雲雀に挨拶をしている
こんな奴に、
挨拶なんてする必要なんてないのに……