LOVEPAIN⑥
「人の顔見てビクビクしやがって。
すげー、ウザイ」
「べつに、ビクビクなんて」
そう答えるそばから、
体が震えている
その瞬間、
私達の横の鉄扉が開いた
こんな所、誰かに見られたらマズイと思って佐藤雲雀から逃げようとしたが、
中から出て来たのは成瀬
その成瀬の姿を見て、
力が抜けてしまう
「広子…」
少し驚いたように、
成瀬はこちらを見ている
きっと、佐藤雲雀との事を、
また誤解されるのかもしれない
また、私が佐藤雲雀を誘惑しているんだって
そう思ったら、
無性に悲しくなって来た
「また、こいつから誘って来たんだけど。
一体、どんな教育してるんすか?
迷惑なんですけど」
佐藤雲雀は、
私から体を離した
「広子、お前、何やってんだ?」
訊ねて来る成瀬は怒ってはいないけど、
佐藤雲雀の言ってる事を信じているんだ
日頃の行いの悪い私は、
そんな風に思われても仕方ない
実際、私は軽い女なのだと思うから