LOVEPAIN⑥
「そう言えば、先生がこないだうちのマンションの近くで広子を見たって。
知られたかも、って言ってた。
ほら、広子が忘年会に行ってた夜」


ナツキのその先生と言う言葉に、一瞬考えたが、
白衣を着たあの人が浮かんだ。


榊原先生…。


「ナツキと榊原先生、プライベートでも仲良かったんだね?
友達だったんだ」


その言葉に、ナツキはそんな訳ないでしょ、と言うように笑った。


「そうそう。その時に、先生から聞いた。
先生から広子に病院を移ってくれるようにお願いしたって。
広子、その時聞いたでしょ?
先生の気持ち」


榊原先生の、気持ち。


榊原先生は患者として以上にナツキを思っている。


それをナツキは、以前から既に知っていたんだ。


そして、ナツキと榊原先生は…。


「先生とは、広子が思っているような関係」

あ、でも、とナツキは言葉を続けた。


「先生は結婚して子供もいる。
先生は男性と同じように女性も愛せる人だから。
俺は男を愛する事はないけど」


「なら…」


なら、一体二人の関係はなんなのだろう。


「時々…。
いや、ここ2~3年は全く会って無かったんだけど、
俺が精神的に辛くなった時に慰めて貰ってる。
簡単に言うと、抱かれてる」


「抱かれてるって…」


男性であるナツキから聞くその言葉は、なんとなく不自然な感じがする。


「最後迄はヤッてないけど。
でも、口でイかせて貰ってるから、
俺的にヤッてんのとあんま変わらないか。
同じ男だからよく分かってるのか、
下手な女にされるより、気持ちいいから」


そう言って笑っているナツキに、
狂気を感じた。


もうこの人に、関わらない方がいいのでは?と頭を掠める。


ナツキの段々とそうやって壊れて行く姿を見ていて、
もうこれ以上、と思う。


私さえ、ナツキの側に居なければ、
ナツキはまた自分を取り戻せるような気がする。


< 357 / 501 >

この作品をシェア

pagetop