LOVEPAIN⑥
「俺もそのアフターピルについて調べてみたけど、
72時間以内に飲んで下さいって、さ」


「なら、私はもう帰る。
手を離して」


段々とナツキが怖くて、声が震えるだけじゃなくて、
涙が溢れて来る。


「以前、広子は成瀬さんの彼女に嫉妬して、その彼女を刺し殺したい程の憎悪を向けたんだっけ?」


あの時の事は、忘れていない。


一瞬でも、芽衣子さんが居なくなってくれれば、と、彼女に包丁を向けた。


「今から72時間後、この部屋から出してあげる。
別に逃げようと思えば、いつでも逃げられると思うけど、
もし、広子が逃げたら俺、その時の広子みたいにもう何するか分かんない」


‘ーーあー、でも、刺すなら成瀬さんを刺してんだろうなぁーー’


その言葉が頭に過った。


「成瀬さんに、何かするの?」


私のその言葉を、ナツキは嘲笑う。



「女は相手の女に嫉妬するのかもしれないけど。
俺は、迷わず広子の事包丁でぶっ刺すと思う」


ナツキの顔は、いつもの冗談を言ってるように見えなくて、
足の爪先から恐怖が駆け上るように広がる。


ナツキは掴んでいた私の腕を引き、
ベッドへと私を押し倒す。


目の前には、私を見下ろすナツキの顔がある。


「お前最高にバカだからハッキリ言うけど、
逃げたら殺すって、言ってんの」


その顔は狂気に満ているけど、
今迄で一番、この人の顔が綺麗だと思った。


鳥肌が立つくらいに、美しい。


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