LOVEPAIN⑥
「ナツキさんが鈴木広子に執着してるのは、
自分より心の弱いお前を助けて頼られる事で、自分が強い人間だと感じられるからだよ!
あの人も、なんか不安定だし。

誰もお前の事なんか、本気で…」


涼雅はそう口にすると、


「悪い、言いすぎた」


と床に置いていたボストンバッグを持ち、そのまま私の部屋から出て行った。


私の足元には、先程涼雅が私に投げた服が落ちている。


私はそれを拾うと、その服を掴み涙が溢れて来るその顔に押し付けた。



きっと、もう涼雅は二度と此処には戻って来ないだろう。


でも、それで良かったのかもしれない。


涼雅には音楽の才能がある。


遅かれ早かれ、彼は私の元から居なくなるのだから。

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