LOVEPAIN⑥
「広子ちゃんはもう旬も過ぎた所もあるし、
もっと今までよりも、過激な作品にしない?」


「例えば?」


私の代わりに、金村監督にそう訊くのは成瀬。


こういった仕事は、私はいつも横に座っているだけ。



「複数人の男から、ちょっと乱暴に扱われたり…。
中出し、とか?」


その中出しの言葉に、思わず反応しそうになる。


その言葉に、心底嫌悪を感じる。


「いや、それはちょっと…」


成瀬は、困ったように首を捻っている。



「分かりました。
ほどほどに、今迄とは違う作品を撮ろうか」


金村監督はそう言うけど、
成瀬の言葉に納得はしてないのが分かる。


そして、こちら側がダメだと思う事も、
やらされるような気がした。



「広子ちゃん。
明後日からの撮影、よろしく」


そう笑うその金村監督に、怖くて体が震えた。



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