レモンキャンディーにさようならを
なんとなくお母さんからの手紙を見つめていると、急いでいたのか文字が走っていることに気づく。
いつも時間ないのに、ご飯作ってくれてるんだよね。
いくつも仕事をかけ持ちしているお母さん。
私も働きたい。
でもお母さんとの約束で、バイトは高校2年の夏からって決めている。
それまでは勉強を頑張ったり、学校を楽しんでほしいってお母さんに言われてる。
ハンバーグ、最後のひとくち。
もぐもぐと咀嚼する。
良い子になりたい。
頭の中で、はっきりと思った。
『良い子で、お母さんを助けてあげろよ』
お父さんが亡くなる少し前、私に言った言葉。
力強く頷いて、私はお父さんに約束した。
『ちゃんと良い子でいる』