レモンキャンディーにさようならを
町外れのアパート。
築15年の、わりとキレイな外観。
一階の三号室に私はお母さんとふたりで暮らしている。
お父さんはいない。
私が9歳の時に他界しちゃった。
胃がんだった。
玄関を上がってすぐの六畳間に小さなコタツが置いてある。
机の上には、お母さんからの手紙が置いてあった。
『おかえり。
今日も仕事で遅くなります。
ハンバーグを作っておいたので、温め直して食べてください。
冷蔵庫の中にはサラダもあります』
内容を音読しつつ、ハンバーグとサラダを確認する。
お腹が空いていたのか、きゅるるっと鳴った。
晩御飯の準備をして、ひとり食べ始めた。