レモンキャンディーにさようならを
「あ、はい。おかえりなさい。では、僕はこれで……」


古賀先生が立ち上がり、保健室の扉に近づいて行った。

私は慌てて、
「あの、ありがとうございました」
と言う。


古賀先生はニッコリ笑って、保健室から去って行った。




「川越さん、大丈夫?何か泣いてた?」

鈴木先生が心配そうに私の顔を覗き込む。


「あ、大丈夫です」

「そう?何でも言ってね」


鈴木先生が私から離れて、背中を向けた。

その間に手の中の宝物をそっと制服の胸ポケットにしまう。




もう、お腹の痛みは消えたみたい。








6時間目。

私は授業に戻った。


古賀先生の授業だったので、クラスのみんなは噂の真相を確かめるべく、先生を質問攻めにしている。



< 30 / 34 >

この作品をシェア

pagetop