レモンキャンディーにさようならを
「ありがとうございます。でももう暗くなってくるし、下校してください」
窓の外を気にしながら、古賀先生は私に言う。


「またお話ししましょう」
そう言って手を振ってくれた。




帰り道。
ドキドキが止まらない。



生まれて初めての気持ちだったけれど、でもすぐに分かった。



そっか。
これが恋心なんだって。



嬉しくて恥ずかしいような気持ち。




手のひらに握っていたままの秘密。
古賀先生と私の、秘密。


宝物だ。


そう思って、大切に制服の胸ポケットにしまった。












思い出を頭の中で再生してた私を我に返したのは、図書室の扉が開いた音。


知らない男子生徒が遠慮がちにこっちを見てる。
「あの、図書室はもう閉めるけど……」


図書委員の今日の当番の人かと分かって、私は鞄を手に取り、
「あの、もう帰ります」
と、そそくさと図書室をあとにした。



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