Re:START! ~君のバンドに、入ります~
「お前! なんで昨日逃げたんだよっ!」 

「ひっ……、ご、ごめんなさい……」


 怒った顔で怒鳴ってくる律くんが本当に怖くて、私は彼から顔を背けてとりあえず謝ってしまう。


「なんでって聞いてんだろ!?」


 そう言いながら、怯えている私の手首をがしりと掴んでくる律くん。

 私は怖がりながらも、彼の手の感触に「あれ?」と思った。

 彼の指の表面が、すごく硬いように思えたから。

 思わず私を掴んでいる律くんの手を見てみる。

 人差し指と中指の腹がやけに節くれだっていて、虫にでも刺されているかのように膨らんでいた。

 どうしてこんな指をしているんだろう?

 怪我かな?

 生まれつき?

 なんてことを、律くんに怯えながらも思っていると。


「まーまー、律。落ち着きなって。詩乃ちゃん怖がってるじゃん。そんなに怒鳴るなよ」


 律くんの肩を軽く叩きながら、響斗くんがなだめるように言う。

 律くんに脅威を感じていた私にとっては、響斗くんが救世主のように思えた。

 ――しかし。


「うるせえ! いいから詩乃! 俺のバンドでボーカルやれ!」

「な、なんでですか……」
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