Re:START! ~君のバンドに、入ります~
それについては、ちょっと話をしてみたい気はする。
私の周りはアイドルやアニメソングが好きな友達ばっかりで、なかなかこの話題で盛り上がれる友達は居ないし。
だけど、私がバンドでボーカルをやるなんて、絶対無理だ。
だって私は、家族以外の人前では歌えない体質なのだから。
*
はあ、どうしようかなあ。
律くんと響斗くんからわけのわからないことを言われた翌日。
溜息をつきながら、私は廊下を歩いていた。
昨日のあの勢いから考えると、絶対に律くんにまた何か言われるだろう。
昨日はカラオケ店だったからなんとか逃げられたけど、学校ではいきなり帰ることなんてできない。
なんとか頑張って断らないと……。
そんなことを思いながら、恐る恐る二年二組の教室の扉を開けた。
――すると。
「おい! 詩乃!」
「ひっ!」
開けた瞬間、律くんが私に迫ってきたので、喉の奥で悲鳴をあげてすくみあがってしまった。
どうやら、私が教室に入るのを扉の前で待ち構えていたらしい。
律くんの背後には、苦笑いをしている響斗くんの姿が見えた。