Re:START! ~君のバンドに、入ります~

 それについては、ちょっと話をしてみたい気はする。

 私の周りはアイドルやアニメソングが好きな友達ばっかりで、なかなかこの話題で盛り上がれる友達は居ないし。

 だけど、私がバンドでボーカルをやるなんて、絶対無理だ。

 だって私は、家族以外の人前では歌えない体質なのだから。



 はあ、どうしようかなあ。

 律くんと響斗くんからわけのわからないことを言われた翌日。

 溜息をつきながら、私は廊下を歩いていた。

 昨日のあの勢いから考えると、絶対に律くんにまた何か言われるだろう。

 昨日はカラオケ店だったからなんとか逃げられたけど、学校ではいきなり帰ることなんてできない。

 なんとか頑張って断らないと……。

 そんなことを思いながら、恐る恐る二年二組の教室の扉を開けた。

 ――すると。


「おい! 詩乃!」

「ひっ!」


 開けた瞬間、律くんが私に迫ってきたので、喉の奥で悲鳴をあげてすくみあがってしまった。

 どうやら、私が教室に入るのを扉の前で待ち構えていたらしい。

 律くんの背後には、苦笑いをしている響斗くんの姿が見えた。


< 9 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop