Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 今日、私は何度彼に謝っているのだろう。


「だからー、いちいち怒るなっての」


 そんな私たちの間に割って入ってくれたのは、響斗くん。

 その拍子に、やっと律くんは私の手首を放してくれた。


「ごめんね、詩乃ちゃん。――律、もう行こう」

「俺の話はまだ終わって……」

「いいからいいから。律、めっちゃ怖がられてるよ? このままじゃびびって逃げられるだけだから、一旦仕切り直そう」


 響斗くんにそう言われた律くんは、まだ何か言いたそうに私を見ていたけれど、渋々といった様子で響斗くんに席まで連れられて行った。

 とりあえず律くんの魔の手から逃げられたことに安堵した私だったけど。


「――詩乃ちゃん。ふたりと仲良くなったの?」


 相変わらずかわいい声で、姫奈ちゃんが話しかけてきた。

 だけどその笑顔がなんとなく作り物のように見えて、わたしはぞくりと背筋を凍らせる。

 ここで答えを間違えたら、確実にクラスでの私の立場が変わってしまう……。
 
 根拠はないけど、そう確信した。

「う、ううん! そんなことないよっ! 本当に何の用だったのか、私にはわからなくって……」
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