Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 姫奈ちゃんに向かって、ぶっきらぼうに律くんが言う。
 
 すると姫奈ちゃんは焦ったような面持ちになった。


「だ、大事な用って何よっ!?」


 そこで私はあることを思い出した。

 そう言えばこの前、律くんと仲良くなった女の子に、姫奈ちゃんが意地悪をしていたっけ。

 姫奈ちゃんはきっと、律くんのことが好きなのだろう。

 ……確かに顔はかっこいいけれど、こんなに乱暴な人のどこがいいのか分からない。

 まあ、それは置いておいて。

 律くんにバンドメンバーに誘われたなんて姫奈ちゃんが知ったら、私も意地悪されてしまうかもしれない。


「わ、私は。と、特に用は、無いです……」


 姫奈ちゃんに、「私は律くんと仲良くしていません」ということをアピールするために、私はそう言った。

 律くんの気迫に押されて、やたらとか細い声になってしまったけど。

 ――すると。


「ああ!?」


 私のその言葉にさらに怒りを覚えたみたいで、律くんが私を睨みながら低い声で唸った。


「ひっ……ご、ごめんなさい」


 それがあまりにも怖くて、私はまたまた小さく悲鳴を上げて謝ってしまう。
 
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