Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 でもまさか、私が一番大好きなこの曲を演奏している人たちがいるなんて。

 だけど、音楽室に入ってしばらくふたりの演奏を聴いた私は、もっと驚いたんだ。

 だって、聞こえてきたのは、私が昨日聞いたSTAR STARTの動画と全く同じ音だったから。

 そう、全く同じだったんだ。

 何百回もあの曲を聴いた私には、分かる。

 こんなこと、できるわけない。

 ――本物のSTAR STARTでも無い限り。
 
 いやでも、まさかね?
 
 そんなありえない考えを打ち消すとちょうど曲が終わり、ふーっとふたりが溜息をつく。
 
 すると響斗くんが私に気づいて、「おーい」と手を振ってくれた。

 律くんはこっちを向いて、とても嬉しそうに笑う。

 また怒鳴られることを覚悟していた私は、拍子抜けた気分だ。


「詩乃! 来てくれたのか! ボーカル、やってくれんのか!?」

「え……いや、その」


 笑顔で勢いよく律くんにそう言われて、私は後ずさりながら煮え切らない返事をする。

 ちゃんと断ろうって決めてたのに、本人を目の前にするとなかなかきっぱりとは言いづらい。

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