Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 また怒鳴られるような気もしちゃって。


「待って待って、律。まずは俺たちのことを話さないと」


 そんな私に助け舟を出してくれたのは、響斗くん。

 はあ、本当に優しいなあ。
 
 みんなに人気があるわけだ。
 
 すると律くんは、きょとんとした顔をした。


「あ、そうか。詩乃は俺たちのバンドのことは、何にも知らないもんな」


 そう、ふたりのバンドのことは何も知らない。

 ……知らなかった。
 
 さっき聞くまでは。
 
 ふたりの演奏は、楽器のことをよく知らない私が聞いても、すごく上手に思えた。
 
 まるで、本当のSTAR STARTなんじゃって思えちゃうくらい。
 
 でもまさか、そんなわけないよね?

「あの……さっきの演奏、すごくSTAR STARTっぽかった。そっくり……。まるで、STAR STARTが目の前にいたみたいだったよー」


 私はへらっと笑って言った。

 憧れのSTAR STARTが、まさか私と同い年、しかもクラスメイトだなんてこと、あるわけないもんね。

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