俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


「それじゃあ、お言葉に甘えてお借りします」

「うん。返してくれるのは、いつでも良いから。読んだらまた感想聞かせてよ」


前島くんは笑顔でそう言うと、自分の席へと戻っていった。


私はたった今、前島くんから借りた単行本を両手で持ち、表紙を眺める。


真っ白の背景に、ピンク、水色、黄色、緑、パープルの5色の淡い水玉模様が描かれているシンプルな表紙。


これは5人の大学生男女の、恋愛青春ストーリーらしいのだけど。

どんな物語なのか、読むのが楽しみだなぁ。


そんなことを考えながら、本の1ページ目を開いたとき──。


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