俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


え? 今、避けられたような……?


「あれ? 今日の一之瀬くん、何だか少し変? いつもなら、みっちゃんにもっと話すのにね?」


七星が、私の席へとやって来た。

やっぱり……七星にもそんなふうに見えたんだ。


「みっちゃん、一之瀬くんと何かあった?」

「心当たりは、特にないけど……」


私は昨日、成宮さんに階段から突き落とされたことを七星に話した。


「そっか、昨日成宮さんとそんなことが……。あたし、何もできなくてごめんね。怖かったよね?」


今にも泣いてしまいそうな顔をする七星に、私は何度も首を横に振る。


「でも何より、みっちゃんが無事で本当に良かった」


七星が私をぎゅっと、抱きしめてくれる。


「一之瀬くん、みっちゃんが勧めた本を読んでいたのなら、大丈夫じゃないかな?」

「そうだと良いな」


──朝陽くん。


図書館へ行った翌日から声が掠れていて、今日もマスクしてるし。もしかして体調でも悪いのかな? と、このときは思った。


だけど……この日を境に、朝陽くんの私への態度は明らかに変わった。


連絡先を交換して以来、毎日のようにスマホに届いていた朝陽くんからのメッセージも、パタリと来なくなった。


たまにあった電話も途絶えた。


朝の登校時『おはよう』と、私が朝陽くんに声をかけると、それに返してはくれるけど……それきりだ。


前みたいに、必要以上に私に話しかけてこなくなったし。

当然『好き』とか、そういうことも言わなくなった。

そもそも朝陽くんと、会話がない。


全く心当たりがないけど私、朝陽くんに何かしたのかな?


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