諦 念

▪▪栞那①side


明奈に言われて
十川さんのマンションへ

呼び鈴を押すが返事は、ない。
ドアノブを触ると
開く!!

開けると玄関の廊下に十川さんが····
慌ててかけより
起こすが、十川さん大きくて
動かない。

十川さんにお願いして
なんとか、ベッドまで運び
スーツを脱がせる。

熱をはかると、高い
病院に行ったと聞いていたから
薬を探して飲ます。

それから··汗をかく度に
体を拭き着替えさせ
水分を飲ませ
シーツを変え熱さまシートを貼る。

着替えたものは、
洗濯機に入れて回して
乾燥する。

朝まで、その一連の動作を
何度か繰り返し

いつのまにか眠ってしまったらしい····

頭を撫でられた感覚で目覚めると

十川さんが謝るから

私の時にどれだけ助けられたか

十川さんにお粥を食べて貰い
桃缶も少し食べて
薬を飲ます。

着替えを済ませてくれていたから
シーツを変えてから
また、寝て貰い
洗濯機を回してから
「一度、帰りますね。」
と、言うと
寂しげな顔をする十川さんに
「舞い戻りますよ、良いですか?」
と、言うと
部屋の鍵を渡してくれた。

「ちゃんと寝てて下さいね。
汗かいたら、着替えをそこに置いて
ますから、着替えて、
下に置いて下さい。
何か、食べたいもの
ありますか?」
と、言うと
首をふりながら
「栞那が来てくれたら良い。」
と、急に言われて
真っ赤になる私を見て
微笑んでいる十川さんに

いたたまれずに
玄関をでる。

もぅ······っ·····

一度、自宅に戻りながら
明奈に状況を説明すると
「頑張りな。」
と、言って電話を切られた。
まったく······

シャワーを浴び着替えをして
どうするか?と悩んだが
今日は、土曜日。
日曜日様子を見てから
夜に戻れば良いかと。

買い物を三日分してから
十川さんのマンションへと
戻る。

そっと、鍵を使い中に入り
寝室に様子を見に行くと
寝息が聞こえる。

お昼の準備をしてから
十川さんを起こす。
寝ぼけているのか
私を見て、ホヤッと笑う
« 可愛い »
と、思ったのは内緒

お昼を食べさせて
水分を取らせてから薬を服用してもらう。
熱は.37度5分、少し下がったかな。

着替えをして貰い
シーツを変えて横になって貰う。

洗濯機を回してから
寝室に行くと
十川さんは、再び寝ていた。
やはりきついのだろう。

十川さんを見ていると
私も寝てしまったようだ。

温かなぬもりに目を覚ますと
十川さんに抱き締められて
寝ていた。
ワァッと、声がでると
十川さんから
「栞那、うるさい。」
と、言われて
腕の中に閉じ込められる。

熱をはからないと
あっ、食事も
くすり·····と思っているが
気持ちよくて、目蓋が閉じてしまう。

サラサラと触れる感覚に
目を開けると
茶色の瞳の中に私の姿が移っていた。
見とれていると·····

「そんな顔をするな。
キスしたいのを我慢してるんだ。」
と、言われて
ボワッと真っ赤になるのがわかり
両手で顔を隠すと
その手を握られて
「栞那、そのまま聞いてほしい。
まずは、看病して貰いありがとう。
疲れているのに、本当にすまないと
思っている。」
と、言われて首を慌てて横にふると
「栞那、ずっと好きだった。
栞那が入社して、デザインインテリア課に
配属された時には一目惚れをしていた。
だが、彼氏がいると聞いて
栞那が幸せならと諦めた。
いや、嘘だ。
この気持ちは封印しようと
だけど、納得するまでは自分の気持ちは
そのままでいようと思った。
お前は、あいつと幸せそうだったから。
何で、あいつより先に告白しなかった
のか、自分自身を恨んだよ。
でも、仕事もイキイキとする
栞那に、俺でなくてあいつだからだと
思っていた。
だが、段々と悲しみにとらわれていく
栞那にたまらない気持ちだった。
でも、栞那の中には
あいつがいて、俺の入る隙間はないと
我慢していたんだ。
諦めようと何度もした。

だが⋅⋅⋅⋅⋅
ずっと待っていた⋅⋅⋅⋅が⋅⋅⋅⋅⋅⋅

もう、待つばかりでなく
前に進みたい。
俺は、三瀬 栞那が好きだ。
俺をお前の中に入れてくれないか?」
と、言われて
涙が、次々と溢れた。

そんなに長く·····長い間······
想って貰えて····いた···なんて·····

仕事では、厳しいが
できると、言葉の限り誉めてくれて
間違った時は、細かく教えてくれて
失敗すると叱ってくれた。

私生活では、ずっと支えて
もらった。
こんな人は、他にはいない
こんな全力で愛情を与えてくれる
人は······

答えない、私に
ダメだと思った十川さんは
私の手から手を話して
「すまない。」
と、言いながら
ベッドから起き上がり
寝室を出ようとする十川さんに
後ろから抱きついて
「わっ、私のそばにいて欲しい。」
と、言うと
くるりと回り
「心臓止まるかと思った。」
と、言って
ギュッと、抱き締められた。
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