きっと100年先も残る恋
21歳と20歳
高松大介のドラマがドラマ大賞作品賞を、貴田美里が別のドラマで助演女優賞を受賞した。

この流れを受けて、世間の注目は当然、二人の血を引く21歳の息子に向かう。

雄介はこの半年で4本のCMと3本のMV出演が決定。
雑誌のメンズ部門ネクストブレイクランキングでも3位にランクイン。
SNSでも1万人だったフォロワーが、一気に15万人に増えた。

主婦向けお昼の情報番組のコーディネート対決「これぞキマリでSWOH」ではモデルとして毎度呼ばれるようになった。
その番組内でも女性タレントから「いい男」扱いされる。
ただ緊張してるだけなのに、口数少なく落ち着いてる雰囲気が主婦にうけたようだ。

OL向けファッション雑誌で「妄想同棲生活」を題材にした特集を組むと、すぐにネット上に声が溢れる。

「#国民的彼氏」
「高松雄介の彼氏感えぐい」
「食べられてるパンになりたい」
「クズっぽさが沼」

すごい言われよう。
私はどこか他人事のようにそれらの声を眺めては画面を閉じる。

一番近くにいすぎて、「彼氏感」とか「クズ」とかどれもピンと来ない。

世の中が彼の俳優デビューを待ち構えている空気。

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