空の色

高校の時の話

大輔「じゃぁ、ちょっと聴診させて?服まくるよ。」

なみ「うん...まぁ、さっき瀬野先生がしたけどね。」

大輔「俺も状態確認したいの!はい、吸ってー吐いてー吸ってー吐いてーーーー...よし。」

なみ「私もう、日本にいる意味無くなっちゃったな。私と遊んでくれる友達はもう居ないと思う...」
そう言って、無理矢理笑顔を作った。

大輔「ごめんな、俺が約束破ったから...でも、みんな友達だよ?ずっとこれから先も。みんなからもメッセ来るだろ?」

なみ「私は心配のメッセなんかいらない。そう言うのじゃないの。やりたいことして、好きなことして、たくさん笑って、、、そう言うことできる友だちがもう居ないってことっ!!」

そういうと、大輔に背を向けた。

大輔「なみ、、、そういうの、できなくても友達だよ。ちゃんとみんな友達だよ。本当は面会許可してあげたいんだけどさ、今感染症も流行ってて、心臓外科の病棟は完全に面会禁止なんだ…医療関係者以外は入れない...ごめんな。」

なみ「3年間...26年間のうち私の学校生活の記憶があるのが3年間だけ。」

大輔「俺と同じクラスになったのが3年の時だけど、長期間休んでる感じはしなかったけど、心臓の手術したとしても、お前喘息もあるのに、よく気づかれなかったな。。。」

なみ「それは...体調悪い時は病院から高校に通ってた...朝点滴してから学校行ったり、もちろん帰ってからも....瀬野先生がたくさんフォローしてくれたの。」

大輔「そっか、頑張ったんだな。俺全然気づかなかったよ。本当に...なみは、いつも笑ってて、授業中みんなで隠れてゲームしたり、漫画読んだり、そんなことしてるのに、テストはいつも上位だったな。ははは。」

なみ「大輔もテストは上位だったじゃん」

大輔「いや、なみの英語には一度も勝てたことないよ。」

なみ「まぁ、、、それはアメリカに住んでたから、できるの当たり前で...大輔もさ、高校の時あんなにバカなことしてたのに、本当に医学部いって医者になってるとは、、、あはは、考えられないや、、、」

大輔「俺は家で勉強してたの。」

なみ「ふーーーーん。」

大輔「信じてないだろ!!」

なみ「信じてる信じてる。あはは」

大輔「さて、なみの笑顔が戻ったから、本題といきますか。」

なみ「え?」

大輔「今日から、喘息予防の注射することが決まって...初回1日目は2本打つんだよね...で、そのあとは2週間おきに1本になる...みんなそんなに痛くないとは言うんだけど...」


なみ「やだ、、、」

大輔「瀬野先生とも相談して決めたんだよ...まぁ、もたもたしてても進まないから、腕捲るよ。」

なみ「やだーーーー!!!!!」

大輔「すぐだから、、、よし、消毒して、、、ちょっとチクッとするよーーー。」

私が手を動かそうとしても、大輔の力がすごくて、全く動かなかった...

大輔「はい!おわりーーー!よく頑張ったよく頑張った。」
と言って、私の頭を撫でた。

なみ「痛かった。。。」

大輔「そっかー、、、でももう一本あるんだよね。。。」
そう言って、すごい申し訳なさそうな顔をした。

なみ「最悪...」

大輔「もう一回、がんばろ?はい消毒して〜、はい打つよーーー。」

私はもう対抗することをやめた。

大輔「おお!今回頑張れてるねーーー」

なみ「さっきは、ちょっと抵抗してみただけ...注射なんて数えられないほど打ってるんだから...」

大輔「はい終わり〜」


なみ「騒いだら、また鎮静剤で眠らされるし、、、もう、それすら慣れてるけど...」

大輔「今までずっと頑張ってきたんだもんな...俺の知らないところで...」

そういうと、また頭をポンポンされ、大人しくしてろよと言い病室から出ていった。


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