ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「食べ終わったし会社に戻りましょう」

「そうですね、午後も宜しくお願いします」

「あら、礼儀正しいじゃない」

 席を立ち自分は上司なので松田の分の支払いもしようと思い財布を取り出しレジへ向かう。
 それを横目に私をスルーして松田はお店を出て行った。

(な……あいつ奢られる気満々だったの?)

「お客様、お会計は既に済んでおります」

「へ?」

「先程の男性のお客様がお支払いなさいましたよ」

 スルーして出て行ったのではなくもうお会計を済ませてたなんて……
まさか後輩に奢られるとは思いもしなかった。
 急いで店を出て松田に駆け寄る。

「松田君っ、お昼の代金払うわ!」

「いいんですよ、俺が誘ったんだから、それより早く戻らないと昼休みの時間終わりますよ」

 時計を確認すると十三時まであと十分。
お店から会社まで確か来る時は十分かかった気がする。
これは急がないとまずい事に気がつく。

「な! やばいじゃない! 急ぐわよっ」

「ははは、ですね」

 私と松田は走るまでは行かないが、かなり早歩きでハァハァ息を切らして会社まで戻りギリギリ十三時に間に合った。
 結局すぐに午後の業務に取り掛かりお昼の代金を返す暇がなく就業時間になってしまった。
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