ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「着きましたよ」

 一時間弱車に揺られ動物園に着いた。

「ん、ありがとう」

 シートベルトを外し顔を上げると目の前に松田の顔。しまった、と思った時には遅く唇に知っている柔らかさが重なる。

「んんっ……」

 片手で私の頭を掻き抱きもう片方の手で私の頬を優しく包む。それが何故か嫌じゃない。ゆっくりと柔らかさが離れていく。

「っつ……水野さん、隙ありすぎ」

「んなっ……松田君が!」

「俺がなに?」

 松田の真っ黒な瞳にジッと見つめられると何も反論出来なくなる。真剣な顔。

「な、何でもないわよ、行きましょ」

「はは、じゃあ行きましょう」

 小学生ぶりの動物園は入園の仕方も変わっていて、昔はチケット売り場で人数分購入し入り口にいるスタッフさんに見せて入園だったのに、今は電子チケットですんなり入る事が出来るらしい。松田が電子チケットを取っていてくれたのですんなり入園できた。どこまでもスマートな男だ。
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