ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「水野さん……ごめんなさい」

「いいのよ、こんなになるまで仕事をさせちゃった私の責任でもあるわ」

 ベットに着くなり松田はドサっと倒れ込む。

「お粥作ってくるからキッチン借りるわよ」

「あ、はい……」

「しばらく寝てなさい」

 人の家で料理をするなんて初めてだ。むしろ男の人の為に料理をするのが初めて。料理といってもお粥だが……来る前にスーパーに寄っておいて正解だった。コトコトとご飯を煮込み溶き卵を流し込む。

(少しは食べれるかしら……)

 出来上がったお粥を寝室に運んだが松田はスースーと寝息を立てて寝ていた。額にジワリと汗をかいていたので洗面所からタオルを拝借し、タオルを水で濡らしてから松田の汗を拭った。
 気持ちが良かったのか少し表情が和らぐ。

「んん……行かないで……」

(ん? 寝言?)

「っつ……待ってよ……」

 松田の目尻からツーっと涙が流れた。顔を顰めて苦しそうにしている。そっとタオルで涙を拭き取り、私は松田の手をギュッと握りしめた。何の夢を見ているのかは本人にしか分からない、けれどきっと悪い夢を見ているんだろう……大丈夫だよ、大丈夫だよ、と何度も心中で唱えながらギュッと松田の手を握りしめた。
 どうしてそんな行動を取ったのか自分でも分からなかった。
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