ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 三人で会社に戻ると明らかにムッと膨れっ面な松田が目に入り、早歩きでこちらに向かってきた。
 グッと手を引かれ松田の方に引き寄せられる。

「ちょっ、松田君、何よ」

「水野さん、今日一緒に帰りましょう」

 涼子は面白いものを見ている顔でニヤニヤしているし、橅木もまるで母親のように優しい笑顔でこちらを見ている。

「わかった、帰る! 帰るからっ」

「良かった、じゃ仕事しましょう」

 満足したのか松田は自分のデスクに戻る。

「松田君、背中から嬉しいビーム出ちゃってるよね」

「ああ、さっきのも嫉妬心丸出しだし、真紀は愛されてんな」

「ふ、二人とも……面白がってるでしょ……」

「「あ、バレた?」」

 涼子と橅木の声が見事に重なり、三人で笑う。少し、いや、かなり気が楽になった。
 午後はまた商品開発部との会議を二時間、その後すぐにマーケティング部でどのように商品を広めていくかの会議。会議、会議、会議でかなり疲れが溜まる。
 やっと仕事が一段落し、帰宅しようとした時には既に二十時を回っていた。
 身体は疲れていたが、それよりも松田とこれから一緒に帰ると思うと疲れが吹っ飛ぶ……まではいかないが少し身体が軽くなる。
< 84 / 232 >

この作品をシェア

pagetop