ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「水野さん、好きです、付き合ってくれますか?」

 ツーっと涙が流れた。これは悲しい涙でもなければ、嫉妬から流れる涙でもない。嬉し涙だ。
 こんなにもいつの間にか松田を好きになっていたなんて……

「……はい」

「はいって事は俺の事好き?」

「……はい」

 笑顔一つない真剣な表情で私の顔を覗き込んでくる松田に、はい、と答えるのが今の私には精一杯だった。

「ははは、あー嬉しい! こんなにも嬉しい事一生ないかも!」

 パァと松田は子供のような笑顔を見せた。
 その笑顔が眩しくて一生目に焼き付けておきたい、そう思った。
 でも一つだけ気がかりな事がある。マコトの存在だ。これがスッキリしないといつまで経っても嫉妬を繰り返してしまいそうだ。勇気を振り絞って聞いてみる。

「松田君……あの、マコトさんとはどう言った関係なの?」

「あ、さっき橅木さんもマコトちゃんって言ってたような気がしたんですけど、あいつ俺の幼馴染で男ですよ、誠って言うんです」

「お、男!?」

「つまりオカマってやつですかね?」

「んまっ……あんなに美人だなんて……」

 ガクッと身体から力が抜ける。見た目も声も完璧に女の人だと思った。無駄な肉のない身体付きに、ぱっちり二重の大きい目に、小さい鼻、ポテっとした唇に緩く巻いた茶色のロングヘアーがよく似合っていた。男の人だなんて一ミリたりとも思わなかった。
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