淋れた魔法
学校指定の白い靴下。
他の生徒は黒や紺を履いてるけど、ゆり先輩は校則違反をしていなかった。
そういうところが、おれにとっては。
だけど彼女にとっては何の特別でもなかった。それを見せつけるかのように海の泥で汚してく。
「土屋凜っ」
大きな声が夕焼けに響く。
「しっかりしろ!!」
見てないようで、見透かされていた。
見ているようで、見ないようにしていた。
淋しいくらいに、突き付けられた。おれの知らない色で染まったゆり先輩を。