俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
「……冗談だろ。お前には絶対にやらない。パリに行かれたら困る」

「強がらずに彼女のことが気になっていると認めろよ。デートを邪魔して口説いたじゃないか」

呆れたように笑うルイのグラスに、自分のグラスを重ねる。

(まさか。一番近い人間は仕事ができるやつに限るだろう。
必要なのは、会社に貢献してくれる従順な社員だ)

結城ほど俺の無理難題を淡々と聞き、完ぺきにこなす秘書は今まで出会ったことがなかった――絶対に離さない。

「……もちろん。秘書としてこれ以上にないくらい愛している。
それに仕事にしか興味のないあいつの素顔が、前々から少し興味があったというだけだ」

「あんまりからかうと彼女みたいなタイプは辞めるよ」

「だとしても、辞めさせないな」

ルイが裏をかいているであろうことは、残念ながら俺は微塵も思っていない。
至近距離で見た結城の動揺する顔が脳裏に過り、思わず笑みがこぼれた。
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