求められて、満たされた

そのステージを見ていた俊介から連絡が来て、再会をし、もう1度交際をスタートさせた。

優登さんの気持ちに気付き、そして自分の醜い欲望に気付かされて。

変化は沢山あるのに、私自身は何も変われていなくて。



「木下奈生です。シンガーソングライターをやってます。」



夜の街は嫌いじゃない。

日中付けている仮面を外し、みんなが本音ではしゃいでつらいことも苦しいことも吐き出す。

解放される時間だ。

私は私をまだ受け入れることが出来ない。

それでも、進まなくてはいけない。

いつまでも子供のままじゃいられない。

生まれ育った環境のせいで歪んでしまった性格も、私を生きていくのは私なのだから向き合っていかなくてはいけない。

心が痛くなる決意だけれど、そうしなきゃ。

優登さん。

私には恋人が居ます。

彼は音楽家としても人としても尊敬できる人です。

こんな大きなステージにも立たせてくれました。

そして彼は私を私の夢へと導いてくれます。

私はそんな彼とともに本気で音楽をやっていきたい。

本気でプロを目指して、もっともっと多くの人に私の歌を聴いてもらいたい。

そして今度こそ、私の歌で誰かを誰か1人でも救いたい。
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