占いお宿II 新たな契りを結ぶ時
「どういうことですか?」

少し顔を赤くしたマリアーナが、首を傾げる。

「ライラが前に占ってくれたんだ。将来、私の隣に立つ女性のことを。波打つブロンドの女性だと」

そっと髪に口付けするアルフレッドに、マリアーナはますます顔を赤らめる。こうして見ると、なかなかお似合いだわ。


「ちょ、ちょっと待ってくれ」

幸せムードを打ち壊すなんてと、声を上げたユリウスを、全員が思わずとジロリと見やる。彼はわずかにたじろいだものの、そこはさすが立場のある人だ。すぐに気を取り直した。

「勝手に話を進めないでいただきたい」

「ユリウス殿のやろうとしていたことも、ずいぶんと勝手だったと思うが」

「本人の意思を無視してな」

アルフレッドの若干不機嫌そうな抗議に、珍しくルーカスが加勢する。2対1な上に、もっともな言い分で、さすがにユリウスの方が部が悪い。

「ユリウス、往生際が悪いわよ。そこのライラっていう子は、ドリーの弟子よ。ということは、彼女の占いが外れるわけがない。諦めなって。ほら。マリアーナはユリウスが望んだように、ちゃんと幸せな顔をしているわ」

「……確かに、そうだな」

「ずっと辛い思いをしてきた子だもの。その唯一の願いぐらい叶えてあげても、バチは当たらないはずよ。それに、大陸を超えた国と繋がりを持てることは、シュトラスにとってマイナスにはならないわ。なんなら、獣人王子様や、破天荒な魔女様も味方になりそうだし」

言い方はともかく、まあその通りだと思う。ルーカスも拒否していないし。

「それは、そうだが……あくまで、シュトラス王国のことは二の次だ。これまでのことを考えたら、マリアーナにそんなことを押し付けられない」

そう言い切ってマリアーナに視線を向けたユリウスは、大きな覚悟を決めたようだ。


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