鬼の棲む街



いつか通された奥座敷には既に双子が座っていた

迷わず上座に座る紅太の隣に強制連行


「小雪は常に此処だ」


居場所をくれる紅太


尋は私と紅太の手を見てフッと笑った



・・・



椿のリングを選んだ後で

『ご注文のお品です』と出されたリングは

赤い石の埋め込まれたシンプルなプラチナのリングだった


リングってそんなにすぐ作れる物?

不思議に思う間も無く絆を深めるという意味を込めた左手小指にペアリングはピタリと収まった

教えたはずもないサイズのことより

その深い赤に魅入る


『赤は紅太の色だからね、龍神会で赤を身に付ける意味は重いのよ?』


愛のメッセージが蘇った


『薬指は予約済み』と口付けた紅太に

真っ赤になった私



そんな二人を

微笑んで見送ってくれた宝飾店の店主は


「またのお越しをお待ちしております」


丁寧にお辞儀をした


一気にお揃いが二つもできて浮かれていた私は

ピアスをはじめ、全てのジュエリーに愛からの指示で細工がされていること


今日、紅太と街を歩いたことで

南の街の冷たい赤鬼に番が出来たと噂をばら撒くことになったとは知る由もない
















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