鬼の棲む街



そこから三人の娘達は会場の外に出され


紅太の側近の仕切りで淡々と会合は進行した


・・・退屈


男の世界の話を延々と聞かされて少々飽きて来た

次のネイルは何色にしようかなんてコッソリ爪を見つめる

そんな私に気付いた紅太は側近の立つ斜め後ろを振り返った


その行動で終わりに近付いていたであろう話しが一気にまとめられてお開きになった


「・・・っ」


戸惑っているうちに立ち上がった紅太に手を引かれて一番に会場を出た


双子と一緒にエレベーターに乗り込んだところで紅太と繋いだ手を引いた


「ん?」


「さっきの、良かったの?」


「あ、アレか」


そう言ってフッと笑った紅太は


「寧ろ好都合」と双子に視線を移した


それに「「あぁ」」と顔を歪めてハモった双子


「この後退屈な食事会もあるんだぜ?古参の古狸相手する苦痛は短い方がいいんだよぉ〜」


種明かししたのは眉を下げた巧だった


確かに退屈な時間だった
この後更に続くなんて拷問に近い

そこではたと気づく


「その退屈な食事会には参加しなくて良いのよね?」


見上げた紅太は一瞬で眉を下げて


「居て欲しい」


繋いだ手に力を入れた


“欲しい”は希望よね?


「お断り」


バッサリ切り落とす


「・・・」

黙り込んだ紅太に


「子猫ちゃんは気まぐれだからね〜」


クスクス笑う巧


「絶対小雪の話題で持ちきりだぞ?詰められる頭を助けてやれよ」


嫌そうな顔の尋


紅太は少し可哀想だけれど厳ついさん達との応酬があるなんて絶対無理だと思った


桜の木が見えたところで


「さっきの厳ついさん達、此処には来ないのよね?」


最上階の紅太の部屋まで来られるなら外へ逃げ出さなきゃいけない


「此処へは愛龍会でも幹部しか上がれない」


諦めたのか肩を落とした紅太は


「此処から出るなよ」


心底嫌そうな顔をした










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