鬼の棲む街



「生脚、すげぇ破壊力」


舐めるように何度も私の脚を眺めてはそう言って近づいては頭を撫でる

ふざけながらもコーヒーだけは入れてくれた巧


ピンポーン


「来た来た」


跳ねるようにリビングから出て行くと


不機嫌な尋を連れて戻ってきた


「おはよ」


「おはよ、じゃねーよ」


「フフ」


「てか、小雪、なんて格好してる」


短めのワンピース的に着た巧のTシャツ


「なに?私くらいスタイルが良いと脚を出しても許されるわよ?」


あくまでも我流を貫く


「クッ、違いねぇ」


ようやく笑った尋はコンビニで色々買って来たとテーブルの上に広げた


巧の入れてくれたコーヒーを飲みながら

カットフルーツとヨーグルトを貰って食べる


向かい側の双子を見ながらひと言


「話して」


目力を入れると

ハァとため息を吐いた後で今回の誘拐の顛末を話し始めた


「あの女は中学の時のダチの妹」


「ダチはLーDragonに入ってたんだけど
美容師になってからは少し距離を置いた感じでさ
俺たちが引退する時に一緒に引退して今は自分の店を持ってカタギまっしぐら」


尋が話す主軸に巧が色をつけていく


「二個下の杏奈は俺に付き纏ってた」


「Dragonにも我が物顔で出入りしてた
兄貴の携帯のロックを解除してLーDragonの内部事情に入り込んでくるような、ちょっと危ない女だったんだ」


・・・確かに、危ない女だった

南の街一番とか言ってたし双子のどちらかと付き合っている妄想までしていた



< 90 / 205 >

この作品をシェア

pagetop