コインの約束
◎ 春、三年生になる

和真はリハビリを頑張り、何の支えもなく歩けるまでになり、部活にも行くようになった。まだ走ることはできないので、チームに指示を出し、キャプテンとして最後の大会へ向けてチームをまとめている。

そんな和真を私は体育館の2階からそっと見守る。

練習が終わると一緒に帰る。

今までの日常が戻っていた。

「春の大会が終わったら、部活は引退なんだ。引退後は本格的に受験勉強を始めないと間に合わないんだよな。芽衣とゆっくりできる時間があまり取れなくなる」

「うん、それは分かってたよ。医学部なんて相当頑張らなきゃ合格できないでしょ。少し寂しいけど、私も勉強頑張らなきゃね」

「芽衣、提案があるんだ。部活を引退したらさ、もう一度京都へ行かないか?修学旅行の最終日に行けなかったところへ、行こう」

「本当に?行きたい!和真と一緒に行きたい!」

私は嬉しすぎて和真に飛びついた。

「ちょっ、芽衣。危ないよ。飛びつくなって」

「だって、和真からのお誘いなんて滅多にないから。嬉しいの」

「おい!滅多にないって、失礼だな」

「ふふっ、絶対だよ、約束だからね」


< 164 / 166 >

この作品をシェア

pagetop