丸重城の人々~後編~
サク「え?」
宗一郎「僕の娘から手を離しなよ」
鋭い宗一郎の目と視線。
かなり恐ろしい。

サク「あ…ご、ごめん!!」
そこで漸く離された柚希。
その場に腰を抜かしたように、へたりこんだ。

宗一郎「柚ちゃん!?」
柚希の元に駆け寄り、支えた宗一郎。
柚希「宗…ちゃ……」
思わず柚希は、宗一郎の服を握った。
宗一郎「柚ちゃん、もう大丈夫だよ」
柚希の背中をさする。

宗一郎「君はさ、柚ちゃんの病気のこと知ってるんだよね?」
柚希の背中をさすりながら、サクを見ることなく話す宗一郎。
サク「はい…」
宗一郎「知っててどうして?
こんなこと…柚ちゃんを怖がらせるだけだよね?
そんなこともわからないのかな?」

淡々とした宗一郎の言葉。
穏やかだが、とても重みがある。
更に冷たく、突き刺さるように響いていた。

サク「すみません!無意識に身体が……」
宗一郎「そう…
さぁ、どうしようか?」
サク「え……」
宗一郎「この事は、僕と柚ちゃんと君しか知らない。
みんなが知ったら、君はどうなるかわかるよね?」
サク「え……」
宗一郎「ほんっと、ここの連中は見境がないからなぁ。特に……大中は…パパである僕の制止も聞かない」
丸重城を見上げて言った、宗一郎。
サク「あの……」

宗一郎「君が決めな!
どうしてほしい?」
そこで、立ち上がった宗一郎。
サクに向き直った。

そこでサクは、宗一郎の“怖さ”を知った気がした。
どうしてほしいか、相手に決めさせる。

あぁ、この男は……恐ろしい。と━━━━━━

大翔達に知られたら、きっと自分は半殺しだ。
惚れている響子の信用もなくすだろう。

この事は三人の秘密にしてくださいと言いたい。
そう言ったとしても、きっと受け入れてくれるだろう。
でも……それだけでは済ませられない何かがあるのだ。

サク「自分で、大翔さんに話します」
< 222 / 228 >

この作品をシェア

pagetop