ずっと好きだった。
「……すみません」
「謝るなよ」
「でも……」
「いいんだよ。むしろ俺が悪い」
「課長が? そんなこと――」
「あるよ。ずっと下心があったんだから」
「下心?」
ティッシュを差し出してくれる課長は困ったように笑っただけで、下心があるようには見えない。
だって、それなら泣いている私を抱きしめてくれたりとかするもんじゃないのかな?
そんなことを考えている自分のずうずうしさに気付いてまたおかしくなる。
ホント、こんな時に何を考えているんだか。
「課長、本当にありがとうございます。何だか元気が出てきました」
「そこで笑われるのも悲しいんだけど。マジで言ってるから」
「で、でも……その……」
「今すぐ抱きしめてキスをしたいくらいにはマジだよ。それからあいつのことを忘れさせられるようにめちゃくちゃ抱きたい。だからアルコールの力を借りて、それを言い訳にしたかったけど、あいつを想って泣いているのに、つけ込んでいいものか葛藤してる間に失敗したよ」
「……やっぱり課長も彼女を裏切るんですか? 結婚を考えている彼女がいるんですよね?」
「ああ、それ誰からか聞いた? あれは適当に言った嘘。いや、本当は結婚したい相手がいるよ。それが君だって言ったら引く?」
「え……?」
「君が新入社員として入ってきたときから気になって……それからどんな子だろうってついつい目で追って、だから君があいつを好きになってしまったことも、付き合い始めたことも、陰で泣いていることも知ってた。って、ストーカーみたいだな、すまん。あ、でもこのマンションは偶然だからな? 最寄り駅も最近まで知らなかったから」
「ス、ストーカーだなんて思いません! ただちょっと信じられなくて……」