運命なんて信じない
入ったのは、ホテル最上階のスイートルーム。

部屋に入ると、琴子をベットに投げ出した。
どんなに抵抗されても、このまま抱くつもりだった。
しかし、琴子は言い訳も抵抗もしない。

その姿を見ていて、急に虚しくなった。
結局、俺の一方的な思いなのだと思い知らされた。

俺は手を離し、「勝手にしろ。好きに生きろ」と言い捨てた。

出て行こうとする俺に、
「これをどう使うかは任せます。でも、私は美優さんを許せなかったんです」
泣きながら封筒を渡たす琴子。

この時、彼女の涙を思いやってやるだけの余裕が俺にはなかった。
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