運命なんて信じない
琴子の着替えが終わった母さんに、後は俺が見ているからと言って交代した。
この様子なら朝まで起きないだろうと思うが、少しでも様子がおかしいようならすぐにホームドクターを呼び出すつもりでもいる。

薬物をなぜられたと聞いた時には随分心配したが、呼吸も安定しているしただ酔っぱらって眠っているように見える。
坂井から聞いた話でもすぐに医者を呼ぶ状態とも思えなくて、様子を見ることにした。
何よりも、大騒ぎになることを琴子自身が望んでいないような気がして、今夜一晩は俺が付き添うことにしたのだ。

ブブブ。
史也からのメッセージだ。

『明日は午前中いっぱい時間を空けました。谷口社長は11時半に来社されますが、多少はお待ちいただくつもりですので気になさらずゆっくり出社してください。谷口美優さんの行動についてはもう少々時間をいただきます』

こんな時間だというのにさっそく動いてくれたらしい史也に感謝しつつ、俺は琴子の部屋のソファーで横になった。
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