運命なんて信じない
家族って・・・
頭痛も吐き気も、昼には治まった。
私が食事を口にできるようになったのを確認して、賢介さんも出社して行った。
しかしその後も、心配性の奥様は1時間ごとに私の部屋を覗いてくださる。

「琴子ちゃん、何か欲しいものがあればすぐに言ってね」
「はい、ありがとうございます」
全ては私の責任なのに申し訳ないなと思いながら、私はただ頭を下げた。

起きられるようになった私は、まず翼にお礼とお詫びのメールをした。
随分無理を言ったし、意識を失った私の介抱をさせてしまって申し訳なかったと謝った。
すぐに翼から返信があり、昨夜は家の前まで送り賢介さんに私を渡したんだと教えてくれた。
やはり、賢介さんにも迷惑をかけてしまったんだ。
そりゃああれだけ怒っていても当然かもしれないと、朝の賢介さんを思い出して一人納得した。
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