運命なんて信じない
ブブブ ブブブ
お昼を回った頃、突然鳴った携帯の着信。
表示されたのは谷口美優さんの名前。

「もしもし」
私は緊張気味に電話に出た。

『琴子さん?美優です』
余りにも明るい声に、一瞬電話を落としそうになる。

昨日のことはどう考えても美優さんの策略。
私を罠にはめようとしたとしか思えないのに・・・

『あのね、琴子さん。これは誤解なのよ』

電話口から聞こえてくるのは言い訳の言葉。
美優さんの言い分によると、昨日のことは大地さんが勝手にした事で美優さんは知らなかったらしい。
自分は決してそんなつもりではなかったと言うけれど、信じられるはずがない。
私は黙って美優さんの言葉を聞いていた。

『でも、琴子さんもひどいと思うわよ』
一通り話し終わった頃、美優さんの声のトーンが急に変わった。

「何がですか?」

昨日の件に関して私は被害者で、美優さんに文句を言われることは無いはずだ。
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