運命なんて信じない
「なあ琴子、子供は悪い事をすれば叱られるんだよ。お前、叱らたことないだろう?」
いきなり説教気味に言われ、
「生きるのに精一杯でしたから」
で?なに?と、挑戦的に言い返した。

そもそも叱ってくれるような大人がいれば、一人で生きてくることは無かった。
誰にも頼ることができなかったから私は必死に働きながら育つしかなかったんだ。

「確かに、琴子は悪い子だね」

スッと、座っていた向かいのソファーから立ち上がった賢介さんが私の前に回り、突然腕を引かれた。
え、ええ。
驚いて動けない私は、次の瞬間には賢介さんに担ぎ上げられていた。

「やめて」
思わず叫ぶけれど、賢介さんは止まってくれない。

米俵のように担ぎ上げられたことがあまりにも恥ずかしくて、私は力の限り抵抗した。
でも、所詮は女の力。
私を担いだままの賢介さんが部屋を横切り、隣の部屋へと続くドアを開けてベッドルームへ。
そして、ダブルベットの上に私を放り投げた。
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